緑内障外来
緑内障とは
緑内障は視野が欠けていく病気です。(でも、末期まで視野の欠けは自覚できません。)
- 自覚症状に気が付いた時には、相当視野が欠けてしまっている場合がある。
- 一度失った視野は基本的に取り戻すことができない。
症状の進行イメージ
実際は、両目で補い合うため、末期になるまで 視野が欠けても 気が付かない事が多い。
そのため、この病気は 早期発見、早期治療 が重要です。
また、緑内障は生涯の病気です。症状の進行が一旦 止まったからと言って、治療薬を中断することはできない事をご理解下さい。
一方で適切な治療を行えば症状がコントロールでき、生涯にわたって視野を守ることができますのでしっかりと治療していきたいものです。
緑内障の治療
緑内障の治療の目的は、視野が悪化するのを、点眼薬の力で止める事です。
緑内障の原因は今のところ完全に解明されていませんが、眼圧を低下させると視野の悪化が止まる、もしくは遅くなることが分かっています。
視野の悪化する速度をMD値(平均偏差)のグラフで記録して、その速度が(正常な人が 老化によって進行する速度≒-0.2 dB/Y)まで下げる事を目標に、点眼薬を変更・追加します。
点眼薬だけでどうしても視野の悪化が止まらない場合は、手術を検討することになります。
緑内障治療の特徴
治療の経過と症状の進行度合を確認するため、検査結果をグラフ化してお示しします。
グラフ化で得られる4つのメリット
A )小さな変化を見つけやすい
小さな変化を見つけやすくなることのメリットは大きく、一般的な眼科クリニックで行われている個々の検査結果を確認するだけでは見逃されがちな症状の進行がグラフ化することにより見つけやすくなります。これにより 視野欠損をごく早い時期に食い止められます。
さらに早い段階で治療を変更する効果として、通常は「回復することが無い」と考えられている視野が、現役世代(40~50代)の方を中心に、視野のMDスロープで、V字回復して見える事が珍しくありません。
これは、視神経細胞が死ぬ直前で「機能が低下した状態だった細胞」が、お薬の変更で 条件が良くなり、その機能を回復した、と考えられます。(当然ですが、死んでしまった視神経を 蘇らせる訳ではないと思います。)
治療の例
縦軸・横軸が異なるので、グラフBの方が、ダイナミックに見えて、視野の全経過が分かりやすい。
赤い縦線のタイミングでグラフの低下(=視野が悪化している)と判断して、治療薬を変更した結果、その後のグラフが上向いているのは視野が回復していることを示しています。
このようにグラフ化することで視覚的に病気の進行を捉えやすくなり、適切なタイミングで治療を行い、症状の進行を止めたり、回復も期待できる、これが当院で行っている検査結果のグラフ化のメリットです。
B )患者さん本人が病状を理解しやすい
緑内障は症状自覚できないため、治療を途中で辞めてしまう患者さんがいらっしゃる。(最初の1年で30%が脱落するという論文が多い。) このため、気が付いたら、ずいぶんと進行してしまっている方が珍しくありません。
当院では、グラフを患者さんご本人に見ていただき、ご自身の病状を理解していただくことで、継続して治療薬を続けていただく糧にしていただいています。 1)治療が順調な人は(安定を意味する)平らなグラフを見ます。 2)治療が順調ではない人は(悪化を意味する)下ったグラフを見ます。 グラフの下がりが一定以上の速さの場合は、お薬の変更で助けます。 緑内障やご自身の症状についてご不明な点がありましたらお気軽にご相談ください。
C )通院頻度を調整できる
グラフ化することで症状がどの程度コントロールできているかしっかり把握できるようになります。そのため頻回な通院が不要だと判断できる方については通院頻度を下げ(次回通院までの期間を長くして)、通院の負担を減らすようにしております。
緑内障は40歳以上の方の20人に1人が発症している、現役世代の方も起こりえる病気ですので できるだけ通院の負担を減らし、治療の中断が無いようにしております。 緑内障を治療中の方で、通院が負担だと感じられている方はご相談ください。
D )緑内障禁忌薬への心配を管理
緑内障禁忌薬とは、緑内障を悪化させる恐れがあるため使用してはいけない薬、という意味で、抗コリン薬や抗ヒスタミン薬がこれにあたります。特に抗ヒスタミン薬は花粉症などの薬として広く使われているし、市販の風邪薬にも含まれています。
そのため緑内障がある患者さんは他の病気の治療においても緑内障への影響を懸念する必要があります。 多くの患者さんが、開放隅角緑内障なので、原則的に禁忌薬は使用しても問題無いのですが、個人差があるため、個別には大丈夫だと言いかねます。 しかし、当院では、服用薬と眼圧と視野の変化を厳密に記録していますので、その薬の影響で、眼圧や視野が変化したのか常に確認できます。よって他の病気の薬を安心して飲んでいただけます。
禁忌薬を管理している例
(グレーのグラフが禁忌薬)
このように禁忌薬を服用しても緑内障には影響が無いと判断できれば、服用を今後も続けることができます。
逆に、その薬を使用中に緑内障が悪化した場合は、早期に発見できますので、悪化した時には、他の薬に切り替えればよいのです。